こんにちは「海老名の不動産屋」大樹不動産の茨木です。
相続した不動産に活用の予定がない場合は、継続的な維持費の負担などを考えると早めの売却がおすすめです。
しかし、不動産の売却によって利益が出ると多額の税金がかかるケースもあるため、不安に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、不動産を相続する予定の方に向けて、譲渡所得税の節税が可能な相続税における「取得費加算の特例」についてご紹介します。
そもそも取得費加算の特例とは何か、適用できないケースや併用できる税制と併せて把握し、ぜひ今後のご参考にしてみてください。
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まずは、取得費加算の特例の概要と要件について見ていきましょう。
取得費加算の特例の概要
取得費加算の特例とは、支払った相続税のうち不動産の売却に関する部分を譲渡所得税の計算時の取得費に加算できる特例のことです。
取得費が増えれば、不動産の売却でかかる譲渡所得税を節税できます。
譲渡所得税とは、不動産の売却で得た利益に対してかかる所得税や住民税のことですが、不動産の売却金がそのまま利益になるわけではありません。
売却金から購入や売却にかかった経費を控除した金額が利益とみなされます。
取得費は不動産の購入にかかった経費を指すため、特例の適用によって取得費が増えれば、課税対象になる利益(譲渡所得)を減らせるというわけです。
適用した場合の計算の流れは?
それでは、取得費加算の特例を活用する場合の計算の流れについてご紹介します。
ステップ①取得費に加算できる相続税額を計算する
取得費加算の特例を適用した場合、先述したように不動産の売却に関する部分の相続税を取得費に加算することが可能です。
そのため、譲渡所得税を計算する前に、まずは取得費に加算できる相続税額を計算しておく必要があります。
計算式は、下記のとおりです。
取得費に加算できる金額=支払った相続税額×不動産の課税価格÷(相続した全体の課税価格+債務控除)
なお、債務控除とは、被相続人が残した借金などの債務を相続税の課税対象となる財産から控除できる制度のことです。
ステップ②譲渡所得を計算する
先述したように譲渡所得とは、譲渡所得税の課税対象となる不動産の利益のことです。
譲渡所得=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)
取得費は不動産の購入にかかった経費、譲渡費用は不動産の売却にかかった経費のことで、どちらも譲渡価額いわゆる売却金から控除することが可能です。
万が一、購入時の証明書類などが残っておらず取得費が不明な場合は、概算費用として譲渡価額×5%を計上することが認められています。
ステップ②の計算時、ステップ①で算出した加算できる相続税額を取得費に含めます。
このように特例の適用によって取得費の金額を増やすことはもちろん、実際にかかった取得費や譲渡費用をもれのないように計上すれば節税効果がアップすることを覚えておいてください。
取得費には不動産の購入費用はもちろん不動産取得税や登録免許税、リフォーム費用なども含まれます。
一方、譲渡費用は仲介手数料や登記費用などが対象です。
場合によっては残置物の撤去費用なども該当することがあるため、税務署などに確認しながら計上できるものはすべて計上しましょう。
また、売買契約書の紛失などで購入費用が不明な場合は、通帳のコピーなどで代用できる場合があります。
概算での計算が認められていますが、なるべく実額を計上することも節税のポイントといえるでしょう。
ステップ③譲渡所得税を計算する
譲渡所得税を算出する場合は、不動産の所有期間によって税率が異なるため、注意が必要です。
譲渡所得税=譲渡所得×税率
譲渡所得税の計算に必要な税率は、下記のとおりです。
不動産の所有期間が5年以下:39.63%(所得税、住民税、復興特別所得税を含む)
不動産の所有期間が5年超:20.315%(所得税、住民税、復興特別所得税を含む)
なお、所有期間は不動産の売却年の1月1日を基準として考えます。
ただし、相続した不動産の所有期間は被相続人の所有期間を引き継ぐため、20.315%の税率が適用になるケースが多いでしょう。
特例の適用要件
取得費加算の特例を適用するための要件は、次のとおりです。
●相続または遺贈(遺言によって財産を取得すること)によって財産を取得している
●相続税が課税されている
●相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書を添付して確定申告をおこなっている
●相続開始日の翌日から相続税の申告期限の翌日以降3年を経過する日までに譲渡(売却)している
なお、相続税の申告期限は、原則として相続開始日から10か月以内とされています。
相続税における取得費加算の特例が適用できないケース
ここでは、「譲渡」という意味で相続と混同されがちな贈与のケースについてご紹介します。
贈与のケースでは取得費加算の特例は適用できない!
たとえば生前贈与で受け取っていた不動産を相続後に売却したようなケースでは、取得費加算の特例は適用できないため、注意が必要です。
先述した適用要件にあるとおり、取得費加算の特例に該当するのは相続や遺贈によって取得した財産であり、贈与のケースでは対象外になるためです。
ただし、例外があります。
相続時精算課税や3年以内加算制度を利用した場合は、取得費加算の特例を適用できます。
相続時精算課税とは、生前贈与の課税を相続時まで先送りできる制度のことです。
一方、3年以内加算制度とは、贈与を受けてから3年以内に贈与者が亡くなった場合に生前贈与がなかったものとされる制度のことです。
これらの制度を利用した場合は、贈与された財産が相続財産とみなされます。
夫婦間の相続における取得費加算の特例に注意!
夫婦間の相続では配偶者の税額軽減という特例があり、1億6,000万円までは相続税の課税対象外です。
そのため、夫婦間で相続税が発生することはほとんどありません。
取得費加算の特例の適用は、相続税が課税されていることが要件です。
このように夫婦間の相続のケースでも、取得費加算の特例は活用できないケースが多いことを覚えておきましょう。
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相続税における取得費加算の特例と併用できる税制とは?
取得費加算の特例は、下記の3つの特例と併用することが可能です。
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除
マイホームを売却した場合、譲渡所得の計算時に取得費や譲渡費用とは別に3,000万円を控除できる特例です。
相続した不動産の場合に適用が考えられる例としては、主に次の3つが挙げられます。
●親と子が同居していた
●親に相続が発生し、子が自宅を相続して相続税を支払った
●相続から3年10か月以内に子が自宅を売却した
また、先述したように夫婦間での相続では取得費加算の特例を適用できないケースがほとんどですが、売却時に3,000万円特別控除は利用できます。
居住用財産の買換えの特例
住み替え時にかかる譲渡所得税を先送りにできる特例です。
ほかにもいくつかの要件がありますが、10年以上居住したマイホームからより高い住宅の購入時に適用できます。
住み替え時には譲渡所得税の支払いが発生しませんが、住み替えた住宅の売却時に譲渡所得税をまとめて支払わなければならないため、注意しましょう。
小規模宅地等の特例
被相続人が居住用または事業用として利用していた宅地などを売却した場合、一定の面積まで相続税の課税価格を減額できる特例です。
ただし、要件が複雑で売却できる期間が制限される場合もあるため、タイミングに注意が必要です。
また、小規模宅地等の特例を併用した場合は、相続税を減額できるという特性上、取得費加算の特例における恩恵が少なくなってしまうことを覚えておきましょう。
まとめ
今回は、譲渡所得税の節税が可能な相続税における「取得費加算の特例」についてご紹介しました。
万が一、相続税の支払いが高額になったとしても、取得費加算の特例を活用することによって譲渡所得税を節税することが可能です。
譲渡所得税に関しては、ほかにも併用できる特例があるため、上手に活用して不動産の売却における税負担を減らしましょう。
大樹不動産 メディア 担当ライター
大樹不動産【株式会社大樹不動産】は新築戸建て・マンションを中心に、海老名市エリア周辺の不動産情報を数多くご提供している不動産会社です。ユーザーの方に有益な情報をお伝えするため、ブログでも不動産情報を多数ご紹介しています。