こんにちは「海老名の不動産屋」大樹不動産です。
昨今、建築業界では建築費高騰が続いております。
その背景には、ナフサ不足をはじめとする原材料価格の上昇があり、断熱材や塗料、塩ビ管、防水材、接着剤など、多くの建築資材に波及しています。
この変化は、施工会社だけでなくデベロッパーの収益構造や事業スケジュールにも、これまでとは質の異なる影響を与えつつあります。
本記事では、ナフサ不足と建築費高騰のメカニズムを整理したうえで、不動産・建設事業者の収益への具体的なインパクトを分かりやすく解説します。
ぜひ最後まで読み進めてみてください。
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ナフサ不足と建築費高騰の最新状況整理

ナフサは原油を精製する過程で得られる軽質油で、エチレンなどの石油化学製品の基礎原料として広く利用されています。
建築分野では、このナフサを原料とする樹脂や溶剤が、断熱材、塗料、塩化ビニル管、防水材、接着剤など、多くの建築資材の製造に使われています。
経済産業省の需要見通しでは、ナフサは石油化学原料として依然重要な位置付けにあり、国内の石油化学産業と一体で需給動向が管理されています。
したがって、ナフサ価格や供給に変動が生じると、建築資材のコスト構造にも直接波及しやすい状況にあります。
現在のナフサ不足の背景には、中東情勢の緊迫化とそれに伴う原油供給不安があり、とくにホルムズ海峡の通航リスクが大きな要因となっています。
原油タンカーの航路が制約を受けることで、原料ナフサの調達が滞り、一部ではナフサ由来製品の国内在庫が目減りしていることが、経済産業省統計などから確認できます。
さらに、海上輸送の遅延や保険料上昇もコストを押し上げ、結果としてナフサの輸入価格と国内指標価格の上昇につながっています。
こうした地政学リスクと物流コストの増加が重なり、建築資材分野にも継続的な価格圧力を与えている状況です。
国産ナフサ価格は、2025年の平均水準が1キロリットル当たり6万円台半ばで推移した後、2026年に入り1キロリットル当たり6万円台前半から12万円台まで急伸しており、足元の上昇圧力が顕著になっています。
一方、国土交通省が公表する建設工事費デフレーターでは、2025年3月の建設総合指数が127台となり、2015年度平均を100とした場合に約3割高い水準で推移していることが示されています。
また、建設資材物価指数も同じ基準年に対して130台前後とされ、資材価格全体が高止まりしている傾向が読み取れます。
今後数カ月についても、中東情勢と原油市況に大きな改善材料が見えないことから、建築費は高値圏で推移し、短期的な大幅下落は見込みにくい局面といえます。
| 指標 | 直近動向 | 建築費への意味 |
|---|---|---|
| 国産ナフサ価格 | 2026年に急騰局面 | 樹脂系建材コスト上昇 |
| 建設工事費デフレーター | 2015年度比約3割高 | 工事費全体の高止まり |
| 建設資材物価指数 | 基準年比130台水準 | 資材仕入れ負担の増加 |
建築費高騰が不動産デベロッパーに与える収益インパクト

不動産デベロッパーの収益は、用地取得費・建築費・販売管理費などの総コストと、販売価格や賃料収入との差額で成り立っています。
このうち建築費は、建物原価の大部分を占めるため、原材料や労務費の上昇が直ちに粗利率の圧迫要因になります。
同じ販売価格でも、建築費が数%上昇するだけで、事業全体の利益が大きく減少する構造です。
そのため、建築費高騰局面では、早期に採算ラインを見直し、案件ごとの利益管理を細かく行う必要があります。
ナフサ不足に伴う建築資材価格の上昇と、それに連動した建築費の増加は、事業スケジュール全体にも影響を及ぼしています。
断熱材や塗料、防水材などの納期が長期化すると、設計変更や仕様調整の検討が必要となり、着工から竣工までの工程が延びる可能性があります。
事業期間が延長すれば、その分だけ金利負担や販管費が増加し、当初想定していた収益計画との差が広がります。
このように、建築費高騰は単なるコスト増にとどまらず、時間要素を通じて収益性を一段と低下させる点に注意が必要です。
さらに、建築費の上振れは、販売価格や賃料の設定にも大きな制約を与えます。
市場環境によっては、原価上昇分を十分に価格へ転嫁できず、販売スピードや入居率とのバランスを慎重に見極めなければなりません。
その結果、開発規模を縮小したり、着工戸数や開発面積を段階的に抑制したりする判断を迫られる場面も増えています。
建築費高騰が続く前提のもとで、各プロジェクトの投資回収期間や期待利回りを再検証し、選別的な事業推進を行うことが求められます。
| 項目 | 建築費高騰による影響 | デベロッパー側の主な対応 |
|---|---|---|
| 粗利率 | 原価上昇による低下 | 仕様見直しと原価管理強化 |
| 事業期間 | 資材納期遅延による長期化 | 工程再設計と発注時期前倒し |
| 事業規模 | 採算悪化による縮小 | 案件選別と投資基準見直し |
不動産・建設事業者が今すぐ見直すべきコストと契約実務

まず取り組みたいのは、自社案件におけるコスト構造の棚卸しです。
特にナフサを原料とする断熱材や塩ビ管、防水材、接着剤、塗料などについて、数量と単価、使用部位を整理し、どの工種でコストインパクトが大きいかを可視化することが重要です。
そのうえで、設計段階から仕様のグレードや施工方法を見直し、同等性能を保ちながら材料置き換えや数量削減を検討します。
設計・施工・購買担当が一体となってVE/VAの検討会を定期的に行う体制づくりも有効です。
次に、請負契約や発注スキームの見直しが欠かせません。
原材料価格が大きく変動する局面では、工事請負金額にスライド条項を設け、一定以上の資材価格上昇時に協議・精算できる仕組みを検討する必要があります。
あわせて、納期遅延リスクを前提に、工期の余裕設定や中間マイルストーンの明確化、遅延時の負担範囲を契約書面で具体化しておくことが望ましいです。
発注方法についても、一括発注に加えて主要資材のみ別途手配するなど、価格変動への対応余地を残す工夫が求められます。
さらに、資材調達と在庫管理のあり方も再点検することが重要です。
特定メーカーや特定商社への依存度が高い場合は、代替サプライヤーの開拓や共同購入の枠組みを検討し、調達ルートを複線化することがリスク分散につながります。
在庫については、需要が読みやすい標準仕様品を中心に安全在庫水準を見直し、調達リードタイムと保管コストのバランスをとることが大切です。
あわせて、現場と本社、仕入れ先の間で、納期情報や不足リスクを早期に共有できる情報連携の仕組みを整えることで、突発的な工期延長や追加コストの発生を抑えやすくなります。
| 見直し領域 | 主な検討ポイント | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| 設計・仕様 | ナフサ依存材の代替・削減 | 建築コストの抑制 |
| 契約条件 | スライド条項と工期余裕 | 価格変動・遅延の分担明確化 |
| 資材調達 | 調達先分散と在庫水準見直し | 供給途絶・急騰リスク低減 |
中長期の建築費高騰を前提にしたデベロッパー戦略

中長期的には、ナフサ不足に起因する石油化学製品の価格上昇と、人件費の上昇が重なり、建築費の高止まりが続く可能性が高いと考えられます。
国土交通省の建設工事費デフレーターでは、建設総合指数が2015年度を100とした場合に、2025年5月時点で約130と、長期的な上昇傾向が確認されています。
この水準を前提にすると、デベロッパーは、従来よりも厳しめの建築費前提を土地仕入れ基準に織り込み、事業収支シミュレーションの感度分析幅を広げておく必要があります。
特に、利回り確保が難しい案件については、取得前の段階で建築費の上振れ余地と売却・賃料水準の見直し可能性を慎重に見極めることが重要です。
建築費の高止まりを前提にすると、新築開発のみを主軸とした事業ポートフォリオでは、収益変動が大きくなるおそれがあります。
そのため、既存ストックの活用や、大規模修繕を含むリノベーション、さらには需要構造の変化を踏まえた用途転換など、多様な収益源を組み合わせる発想が求められます。
国土交通省の統計でも、リフォームやリニューアル工事の受注は、建築着工の変動と異なる動きを示しており、建物ストックの活用余地が大きいことがうかがえます。
こうした事業の検討にあたっては、建物の残存耐用年数や改修後の賃料水準、工事期間中の空室リスクなどを一体で比較し、総投資回収期間を踏まえた判断を行うことが大切です。
さらに、中長期の事業戦略では、建築費だけでなく、金利・為替・エネルギー価格といったマクロ要因を一体で管理する視点が欠かせません。
経済産業省や資源エネルギー庁の資料では、原油やナフサを含むエネルギー価格の変動リスクが強調されており、これらは建設資材価格や物流費を通じて建築費に波及します。
また、内閣府の四半期別GDP統計では、民間住宅投資や民間企業設備投資が景気変動の影響を受けやすいことが示されており、金融環境の変化によって不動産需要が大きく振れる可能性も意識する必要があります。
したがって、デベロッパーは、金利や為替の前提を複数パターン用意し、建築費・販売価格・賃料の変動を組み合わせたシナリオ分析を行いながら、投資・開発の優先順位を定期的に見直す体制を整えることが重要です。
| 検討領域 | 見直しの主なポイント | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| 土地仕入れ基準 | 建築費上振れを織り込んだ利回り設定 | 採算割れ案件の早期ふるい分け |
| 事業ポートフォリオ | 新築とストック活用の比率見直し | 収益源の分散と安定化 |
| リスク管理 | 金利・為替・エネルギー価格のシナリオ分析 | 開発案件の優先順位付けの高度化 |
まとめ
ナフサ不足と建築費高騰は、一過性の問題ではなく中長期で事業収益を左右する重要テーマです。
原材料価格だけでなく、資材不足や納期遅延を前提に、設計仕様・調達・契約条件を早期に見直すことが欠かせません。
デベロッパーでは、事業収支シミュレーションや土地仕入れ基準の再設定、ストック活用やリノベーションへのシフトなど、ビジネスモデル全体の再設計が必要になってくる事が想定されます。
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